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神戸市の市街地の北西部に鵜越という地名の場所があります。平家物語の記述で源義経が平家に奇襲攻撃を行う際、険しい崖を馬で駆け下ったとして描かれた場所です。敷地は坂道に沿って雛壇状に造成された分譲地でした。敷地周辺は隣家が近接して建てられていましたが、道路の向かい側に8 mほどの高さの密集した常緑樹が緑の壁を作っていました。この樹木は小学校のグラウンドの外周に巡らされた緑でした。隣家側は、眺望を得られる環境ではないため、計画はこの緑を借景とし、プランニングを行うことになりました。 食堂、厨房、居間のスペースを2階に設け、道路側の緑の方向に視界が開く開口を取り、南東方向からの採光は、屋根の上のトップサイドライトから取り入れることにしました。1階は「寝室、個室、納戸」を「長い部屋」と「玄関側の廊下」で挟んだような平面計画としています。1階奥の寝室が暗くなることを想定し、2階の部屋に入った自然光が吹き抜けと階段室を通じ1階の「長い部屋」と「玄関側の廊下」に届くような断面計画としました。1階の間仕切り建具はすべてガラス戸として、それぞれのスペースにできるだけ自然光が取り込めるようにと考えました。「長い部屋」は子供部屋として使用される予定ですが、家族のそれぞれの専用の椅子やパソコンが置かれ、各々が本を読んだり、仕事や勉強をしたり、カウンター下にコロ付きの引き出し収納を納めたり。本や雑貨があふれかえる。そんなイメージのスペースです。現在は子供と一緒に家族全員が奥の寝室で寝起きしています。玄関側の「個室」や「長い部屋」は、子供の成長や独立、家族の人員の変化や仕事等により、様々な使い方をされるのだろうと思います。ちなみに1階のスペースは中央の納戸を中心にぐるぐると回れる動線となっています。 2階の食堂は、椅子式の食事ではなく、板間に座り込んだスタイルでの食事を希望されました、配膳が負担にならず、なおかつ座り込めてそのままゴロンと横になれる・・・そんなスペースです。厨房部分もぐるりと回遊できる動線となっています。 |
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鵯越の家 House in Hiyodorigoe, 2010 2010年 兵庫県神戸市 専用住宅 木造、地上2階 |
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一級建築士事務所/吉本剛建築研究室 |
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吉本剛建築研究室 / Go Yoshimoto Architect & Associates | ||||
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